相続で揉めないための遺産分割協議8つのポイント
「実際に遺産について話し合う時のポイントが知りたい」
せっかく残してくれた遺産なので相続人同士揉めたくはないですよね。どんな点に気を付けて話し合えば揉めるリスクが少なくなるのか、みなさん知りたいと思います。
この記事では、遺産分割協議をする際の揉めないためのポイントをご紹介します。
遺産分割協議の8つのポイント
遺産分割協議をするときのポイントを8つに分けてご紹介します。中でも重要なのがポイント1「財産目録を相続人に見せる」と、ポイント2「相続人の意見を聞く」です。
これらのポイントを押さえて頂ければ、トラブルに発展する可能性がかなり減らせるはずです。
ポイント1 財産目録を相続人に見せる
事前の準備で作成した財産目録を相続人に配布します。どのような財産があり評価額はどのくらいなのかを見せることによって話し合いがスムーズに進みます。また財産目録を見せることによって、「財産を隠しているのではないか?」などの疑問がでることを防げます。
ポイント2 相続人の意見を聞く
話し合いが始まったらまずは、各相続人の意見を聞きましょう。各相続人が遺産の分け方についてどう考えているのか理解しておくと話し合いがスムーズに進みます。もし、他の相続人が相続財産を要らないというのであれば、話し合いはそれで終わりでしょうし、意見があればその意見を考慮しながら分け方が決められます。
ポイント3 法定相続分をベースに考える
法定相続分で基準を提示
相続人の意見を聞いたら、次に法定相続分の説明をし、法定相続分で分けたらどのくらいの相続財産を相続できるのかを各相続人に理解してもらいます。
なぜなら、相続財産の分け方を決めるにも、ある程度基準がないと話せないからです。まず、自分が受け取れる割合を理解することで、相続財産を受け取り過ぎたり、少なくなりすぎることを防ぎます。
法定相続分で考える必要が無いときもある
もちろん、相続人の意見を聞いた際に、他の相続人が相続財産を要らないと言っていたり、今後の生活のためにお母さんに全部相続してもらいたい、事業を継ぐ長男に全部相続してもらいたい、など事情があるときは法定相続分で考える必要はありません。
ポイント4 特別な事情をある程度は考慮する
特別な事情の考慮
法定相続分をベースに考えることが争いにもなりにくく、相続人の理解も得やすい方法ですが「特別な事情」があるときは、その事情も考慮して協議する必要があります。特別な事情とは、生前に故人を長年に渡って介護してきた(寄与分)、生前に故人から住居を新築したときの費用をもらっていた(特別受益)などのことです。
お互いに歩み寄って妥協点を見つける
特別な事情をどこまで考慮するのかについては、各相続人で考えが異なり争いになりやすい部分です。
例えば故人を長年に渡って介護してきたという事情でしたら、介護をしてきた相続人からすれば、大変な思いをして介護をしたのだから多く遺産を受け取りたい、と思うでしょうし、他の相続人からすれば、同居しているなら当たり前で、逆に家賃や光熱費の支払いがない分生活費の援助を受けていた、とも思うでしょう。
しかし、特別な事情ばかりに気を取られると、遺産をめぐる問題を長期化・紛争化させてしまうので、お互いに歩み寄って一定の妥協点を見つけることが必要でしょう。
ポイント5 取得する遺産の差をどうするか考える
換価分割や代償分割も選択肢の一つ
遺産を分割するとどうしても、特定の相続人に遺産が集中してしまい不公平になりがちです。相続財産の偏りが出ていても、相続人同士で納得されているのであればいいのですが、もし出来るだけ公平に遺産を分けたいというのであれば、遺産分割の方法として換価分割や代償分割を選択するのも手でしょう。
遺産が目減りしてしまう可能性
ただし、現物分割と比べ換価分割や代償分割をする場合、手間や時間、費用が掛かります。そしてせっかくの遺産が目減りしてしまうことも考えられます。
相続人間でどこまで公平に分けたいのかを話し合う必要があります。
ポイント6 相続税など税金について考慮する
余裕があれば相続税も考慮
相続財産が基礎控除額(3000万円+(600万円×法定相続人の数))を超える場合は、相続税についても考慮しながら遺産分割協議をするべきでしょう。
相続税については様々な控除があります。その控除が利用できると納税額を抑えることが出来るでしょう。しかし、控除が利用できるか?要件は正しいか?という判断は、専門的で難しいので、気になる方は税理士に相談するのもいいでしょう。
優先するのは遺産分割協議の成立
ただし、税金のことばかりを考えていると相続人間で遺産分割協議がまとまらなくなる可能性も出てきます。まずは、遺産分割協議がまとまるように話し合い、まとまってきたら税金について考えましょう。
ポイント7 安易に共有にしない
とりあえずの共有は避けるべき
話し合うことが面倒くさかったり、話し合いがまとまらないのでとりあえず相続財産を共有してしまうと後に大変なことが起こる可能性があります。特に不動産を共有にした場合です。
不動産を共有にした場合、この不動産を売ったり、担保に入れてリフォームをしよう思ったら共有者の協力が必要です。もし共有者が一人でも協力してくれないときは、不動産を売ったり、融資が受けられなくなります。
また、共有者が亡くなればその共有していた不動産は相続人に相続されますので、利害関係人がどんどん増えてしまい、話し合う事が困難になってしまう可能性があります。
安易な共有は問題の先送りに過ぎない
話し合いがまとまらないので安易に共有にすることは、将来に問題を先送りにしたに過ぎないのです。共有関係が複雑になればなるほど解決のための手間もお金もかかります。自分たちのことだけではなく子や孫の世代のためにも共有にすることはできる限り避けるべきです。
ポイント8 遺産分割協議後に発見された遺産の分け方も考える
後に遺産が見つかることもある
相続財産の調査ですべての相続財産が洗い出せたと思っていても、遺産分割協議後に新たな遺産が発見されることがあります。たとえば、知らなかった通帳が見つかったり、株や債権が見つかることもあります。
新たに見つかった遺産の分け方を決めておく
その新たに見つかるかもしれない相続財産について、相続人間で話し合っておくほうがいいでしょう。
例えば、「新たに見つかった相続財産は特定の相続人が相続する」と決めたり、「新たに相続財産が見つかった時は、再度遺産分割協議で話し合おう」とするのです。
なお再度、遺産分割協議をすることが難しい事情があれば、事前に相続する方を決めておく方がいいでしょう。
まとめ
8つのポイントをご紹介しましたが、ポイント1とポイント2の重要性を理解いただけたのではないでしょうか。
遺産にどのような財産があるのかは、相続人の一番の関心事でしょう。そのため、財産の目録を提示しないまま話し合いを進めることは、争いの火種を作ることになりかねません。
また「相続人の意見を聞く」は当たり前のように聞こえますが、お互いの意見を尊重しましょう、ということです。自分自身の主張ばかりをしていても話し合いはまとまりません。お互いに相手の意見をよく聞き、譲歩できる部分は譲歩しながら遺産分割を進めましょう。