法定相続人なのに相続人になれず遺産を受け取れない3つのケース
「相続人なら必ず遺産を受け取れると思ってた、、、」
残してくれた遺産は出来るだけ受け取りたいですよね。
相続人には遺産を受け取る権利があるから、当然受け取れると思っていませんか?
実は、相続人でも遺産を受け取れない場合があるんです。
こちらでは、相続人が遺産を受け取れないケースをご紹介します。
法定相続人の基本的なルールのおさらい
法定相続人になれる方は民法で決められています。基本的なルールや順番は以下の通りです。
まず、配偶者については常に相続人になります。配偶者以外に、法定相続人がいれば、配偶者+相続順位が一番上の法定相続人が、共同で相続人になります。
配偶者以外の法定相続人の順番は、第1順位の人(子)から順番に相続人になる権利が与えられ、第1順位の人が一人もいない時に、はじめて第2順位の人に相続する権利が移ります。第2順位から第3順位に移るルールも同じです。
これらをまとめると下記の表になります。
法定相続人 | 相続順位 |
---|---|
配偶者 | 常に相続人 |
子(孫など) | 第1順位 |
直系尊属(父母や祖父母) | 第2順位 |
兄弟姉妹 | 第3順位 |
相続人になれない3つのケース
上記の基本的なルールに当てはめて法定相続人になったとしても、相続人になれないケースが3つあります。ここではそのケースをご紹介します。
ケース1 相続欠格に当てはまるとき
相続欠格(そうぞくけっかく)とは、特定の相続人に相続欠格事由が認められる場合に、その者の相続権を失わせる制度です。
相続欠格事由に該当するのは以下の5つの場合です。
- 故意に被相続人、自分以外の相続人を死亡させ、または死亡させようとして刑に処せられた者
- 被相続人が殺害されたことを知りながら、告訴、告発をしなかった者
ただし、その者に是非の弁別がないとき(まだ子供の場合など)、または殺害者が自己の配偶者もしくは直系血族(子、孫、親、祖父、祖母)であった場合は、例外です。 - 詐欺や強迫により、被相続人が相続に関する遺言を作成・撤回・取消し・変更することを妨げた者
- 詐欺や強迫により、被相続人に相続に関する遺言を作成・撤回・取消し・変更させた者
- 相続に関する被相続人の遺言書について偽造・変造・破棄・隠匿した者
以上のようなことに相続人が該当すると相続欠格ということで、法定相続人ではあるが相続人とはなれません。
早く遺産が欲しいから、遺産を全部自分のものにしたいから、などの理由で被相続人や相続人を死亡させたりしたら相続人になれませんよ、ということです。これはイメージが付きやすいのではないでしょうか。
ケース2 相続廃除に当てはまるとき
相続廃除(そうぞくはいじょ)とは、相続人から虐待を受けたり、重大な侮辱を受けたりしたとき、またはその他の著しい非行が相続人にあったときに、被相続人が家庭裁判所に請求して虐待などした相続人の地位を奪うことをいいます。
相続廃除に該当するのは以下の3つの場合です。
- 被相続人に対して虐待をした
- 被相続人に重大な侮辱を加えた
- その人に著しい非行があった
以上のように、虐待を加えたり、素行が悪い相続人は、法定相続人ではあるが相続人となれない可能性があります。
ただ、相続廃除は相続欠格と大きく違うところがあります。それは、この相続人廃除というのは、実際に虐待や侮辱を受けた人が、自ら裁判所や遺言書で「相続廃除をしてほしい」と手続きをする必要があります。自動的に相続廃除になるわけではないのです。実際に虐待や侮辱を受けた人の意思が必要なのです。
そのため、どんなに虐待などを受けても、「仕方ない、何があっても1人息子だ、遺産は継いでもらおう」と考え相続廃除をしなければ、たとえ虐待や侮辱があったとしても、相続人になれるのです。
ケース3 相続放棄をしたとき
相続放棄(そうぞくほうき)とは、家庭裁判所に対して相続人が、被相続人から受け継ぐはずの遺産を相続しない(放棄する)と申し立てる手続きのことです。
相続放棄をした場合、相続放棄をした人は初めから相続人ではなかったことになります。つまりプラスの財産(預金など)はもちろんのこと、マイナスの財産(借金)も相続しなくて済みます。つまり、相続する遺産が借金ばかりのときや相続に関わりたくないときなどは、相続放棄をすれば相続人になる必要はなくなるのです。
まとめ
以上のような3つのケースに当てはまる場合はたとえ法定相続人だとしても相続人にはなれません。相続人だから必ず遺産を受け取れるものだと考えて、好き勝手なことをしてしまっていると、遺産を受け取れずに人生設計が狂ってしまうことになりかねません。そんなことにならない為にも、日ごろから家族仲良く過ごした方がいいですね。