不動産の相続登記をしないで放置した時の7つのデメリット

「相続登記をしなかったらどうなるの?」

不動産を相続したら、相続人への相続登記が必要になります。でも相続登記ってお金も掛かるし、時間も掛かりますよね。それなら放置しちゃおうかなと思う方も多いと思います。

でも、ちょっと待って下さい!放置してしまうと多くのデメリットがありますよ。

今回はそのデメリットにスポットを当ててご紹介します。

相続登記をしないデメリット

相続登記は義務ではなく、手続きをしなくても罰則はありません。しかし相続登記をしないと多くのデメリットがあります。まずこちらでは、そのデメリットを7つご紹介します。

デメリット1 相続人が増えて遺産分割協議がまとまらない

相続登記を放置したときの一番多くみられるデメリットは、相続人が増えて遺産分割協議がまとまらなくなることです。相続登記を放置していると、その間に相続人が亡くなってしまうことがあります。そうなると、亡くなった相続人の配偶者や子ども、親、兄弟姉妹が相続人となり、相続人がどんどん増えてしまうのです。

相続人が増えたとしても、よく連絡を取り合う間柄であればお金(遺産)の話もしやすいでしょうが、久しぶりに顔を合わせる仲だと遺産分割協議もうまく進みません。

「相続が発生した時に相続登記をしていれば、、、」と後悔する方は多いです。

デメリット2 認知症になり余計な手間や費用が掛かる

次に相続登記を放置してしまった場合に出てくるデメリットは、相続人が認知症になってしまうことにより、成年後見人を選任しなければ遺産分割協議が出来なくなってしまうことです。

成年後見人を選任するには認知症の方の財産を調査したり、医師の診断書を取得したりと、とても手間が掛かります。また無事に成年後見人が選任されて遺産分割協議が終わったとしても、基本的に成年後見人は認知症の方が亡くなるまで一生選任されたままで成年後見人に対する報酬も一生続きます。

このように、相続が発生してすぐに相続登記していたら発生しなかった手間や費用が掛かることがあります。

デメリット3 相続人の気が変わってしまい遺産分割協議ができなくなる

相続発生当時は、ほかの相続人から「遺産なんていらないよ」「遺産は全部あなたにあげるよ」と言われ、そのまま手続きをせずに放置してしまっていることがあります。しかし人の気持ちは変わりやすいものです。

ちょうどお金が必要な時期に、遺産の話をもう一度されたら「出来るだけ遺産が欲しい」と言われてしまうかもしれません。相続が発生した時に相続登記をしていれば遺産は自分のものになっていたのに、放置したことにより、自分の貰う遺産が減ってしまうことがあるのです。

デメリット4 不動産を売却出来ない

相続した不動産に誰も住む予定がなければ、売却することも検討されるでしょう。しかし不動産を売却する際、故人名義のままでは売却が出来ません。事前に相続人名義にする必要があるのです。

例え故人の名義のまま不動産会社に売りに行っても「相続登記をして下さい」「先に司法書士に相談してください」と言われてしまいます。せっかく売りたいタイミングがあっても不動産がスグには売れないのです。

デメリット5 不動産を担保に融資を受けられない

相続した不動産に住み続けるだけでしたら相続登記をしなくても住んでいられます。しかし、リフォームや二世帯住宅への建替えが必要になり、金融機関から融資を受けて工事費用を工面したいと思ったとき相続登記をしていないと融資は受けられません。

相続登記をしておかないとリフォームや二世帯住宅の資金が調達出来ず、計画が頓挫してしまうこともあります。

デメリット6 司法書士の費用が高くなる

前述のとおり相続登記は放置すればするほど相続人が増えてしまいます。相続人が増えると司法書士の費用もそれにあわせて高くなる傾向があります。同じ相続登記するのに時間が経過すればするほど、手続きに掛かる費用が増えてしまうのです。

ですので、出来るだけ早めに相続登記をしたほうが費用は安く済みます。

デメリット7 将来に争いの火種を残す

相続登記をそのまま放置してしまっていると、相続手続きはいつになっても終わりません。しかし、いつかは手続きをしなければならない日が来るのです。

「遺産は少ないから争いにならないよ」と言う方もいるかもしれません。遺産で争いになる原因の多くは、遺産の多い少ないではなく遺産を放置したことによるトラブルです。

つまり相続登記を放置することは、争いの火種を後世に残すことなのです。そして、あなたがやらなかったとしてもそのツケはあなたの親族や子孫が将来払うことになります。あなたの親族や子孫のためにも、相続登記は放置せず早めに手続きをすることをオススメします。

相続登記をしないメリット

相続登記をしないメリットはほとんどないのですが、しいていうなら以下のメリットがあります。

登録免許税を「今は」払わなくていい

相続登記をしないメリットをあえて見つけるなら、登録免許税を「今は」支払わなくていいということです。相続登記を申請する際、登録免許税という印紙代が発生します。相続登記をしない間はこの登録免許税を納付しませんので出費は一時的に抑えられます。しかし、これは一時的なメリットにすぎません。

今すぐに印紙代を納付できない経済的な事情が無いのであれば、メリットよりデメリットの方が遥かに大きいので相続登記をすることをおすすめします。

まとめ

以上のように、相続登記をしないデメリットと相続登記しないメリットを比べると明らかに相続登記をしないデメリットの方が多いことがわかります。メリットは一時的なものでいつかは支払う必要があるものを先の場にしているだけなので、実際メリットとは言えないかもしれません。

親族と争いになるのを避けたい、費用を出来るだけ抑えたい、争いの火種を残したくないという方は、相続登記に期限はなくとも早めに相続登記をした方がいいでしょう。