はじめての相続手続きで損をしない為に銀行や司法書士の費用を比べてみた
「相続手続きって頼む先によって費用は違うの?」
「銀行と司法書士ならどっちに頼めばいいんだろう」
一生の内に何度も経験することじゃない相続。費用がどのくらい掛かるか分かりませんよね。
でも出来るだけリーズナブルに手続きをしたいっていうのが本音かもしれません。
そこでこちらでは、相続手続きを銀行と司法書士に頼んだ場合の費用の違いをご紹介します。
相続手続きの費用を理解して、損をしないようにしましょう。
よくある相続事例で比較 ~一般的なご家庭の場合~
では早速、相続手続きの費用を比較するために事例を設定します。今回は夫、妻、長男、長女の4人家族。ごく一般的なご家庭の場合です。
先日、夫が亡くなり相続人として妻、長男、長女の3人が相続人となりました。
夫が亡くなった時の遺産は、家族で住んでいた自宅(評価額3000万)、子供たちの教育資金として貯めていた預貯金(評価額500万)、老後の資産づくりとしてはじめた株(評価額300万)、妻を受取人にした生命保険(評価額200万)の遺産総額4000万円とします。
妻は、相続手続きを自分で行うことは大変だと感じ、銀行に頼むか司法書士に頼むかを検討中。このような事例です。
今回の事例をまとめると、下記の表のようになります。
遺産 | 内容 |
---|---|
不動産 | 土地1筆、建物1個(評価額3000万) |
預貯金 | 1手続先(評価額500万) |
株 | 1手続先(評価額300万) |
生命保険 | 1手続先(評価額200万) |
被相続人 | 夫 |
相続人 | 3名(妻、長男、長女) |
遺産総額 | 約4000万円 |
A信託銀行の場合
まずは、妻が信託銀行に相続手続きを依頼した場合の費用を見ていきます。信託銀行はCMやネットでも大々的に相続手続きの代行を宣伝しているため、依頼する候補の1つに考える方は多いのではないでしょうか。
信託銀行の下記の報酬額表を見ると、遺産総額の大小によって報酬が変わることが分かります。簡単にいうと遺産が多ければ費用が高くなるということです。これは信託銀行でも司法書士でも変わりませんが、一番のポイントは最低報酬額が100万円以上であることです。そして更に、司法書士や税理士などの専門家の費用は別だということです。
報酬体系
遺産の総額 | 報酬 |
---|---|
依頼した銀行の預金部分 又は 依頼した銀行が販売した商品の部分 |
0.216% |
5000万円以下の部分 | 2.160% |
5000万円超1億円以下の部分 | 1.620% |
1億円超2億円以下の部分 | 1.080% |
2億円超3億円以下の部分 | 0.864% |
3億円超5億円以下の部分 | 0.648% |
5億円超10億円以下の部分 | 0.540% |
10億円超の部分 | 0.324% |
- 合算金額が108万円に満たないときは最低報酬額として108万円。
- 相続登記や相続税の申告に必要な司法書士、税理士の費用は別途必要。
実際の報酬額
夫の遺産総額は4000万円だったので、4000万円に2.160%を掛けた金額が信託銀行に支払う費用になりそうですが、それは違います。先ほどご説明したとおり、信託銀行の費用は最低報酬額があるのです。
そのため実際の報酬額は下記のようになります。
・司法書士の相続登記費用別
一般的な司法書士の場合
次に、妻が自宅の近くにある一般的な司法書士に相続手続きを依頼した場合を見てみましょう。
一般的な司法書士は下記の報酬額表を採用しており、同じ報酬額となります。なぜ同じになるかというと、多くの司法書士事務所が参考にしている法律書籍に書かれている報酬額表をそのまま採用しているからです。
ここで必ず知っておいていただきたいのは、司法書士に相続登記(不動産の名義変更)のみを依頼したときは8~10万円程度が相場だということです。
相続登記のみを依頼したときは8~10万円程度。では今回の事例のように預貯金、株、生命保険の代行をあわせて頼んだら、どのくらい費用が増加するのでしょう?
答えは下記の実際の報酬額にあります。
報酬体系
遺産の総額 | 報酬 |
---|---|
500万円以下の場合 | 25万円 |
500万円超~5000万円以下の場合 | 1.2%+19万円 |
5000万円超~1億円以下の場合 | 1.0%+29万円 |
1億円超~3億円以下の場合 | 0.7%+59万円 |
3億円超の場合 | 0.4%+149万円 |
実際の報酬額
相続登記だけだと8~10万円程度だった費用が、預貯金、株、生命保険の代行を頼んだ途端、以下のように60万円近い費用の増加になるのです。これを高いとみるか安いとみるかは、人それぞれですが、私は高く感じます。
・4000万円×1.2%+19万円=67万円が司法書士への費用
・司法書士の相続登記費用込み
当事務所の相続手続き全部おまかせサポートの場合
最後に、妻が当事務所に相続手続きを依頼した場合の費用を見ていきましょう。当事務所の費用も下記のように、遺産の総額の大小で費用は変わりますが、遺産の総額が4000万円までなら、費用は19万8000円で抑えることも可能です。
遺産の総額が4000万というのは、一般的な多くのご家庭が当てはまります。
報酬体系
遺産の総額 | 報酬 |
---|---|
4000万円以下の場合 | 19万8000円 |
4000万円超~6000万円以下の場合 | 29万8000円 |
6000万円超~8000万円以下の場合 | 39万8000円 |
8000万円超~1億円以下の場合 | 49万8000円 |
1億円超~1億2000万円以下の場合 | 59万8000円 |
以降、財産の総額が2000万円増加ごとに、報酬10万円増加 |
実際の報酬額
今回の一般的なご家庭の場合、特に追加料金が掛かることも無かったため、下記の費用となります。
・司法書士の相続登記費用込み
当事務所の相続手続きサービスについて、もっと知りたい方は「相続手続き全部おまかせサポート」の記事で詳しく解説しています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回の事例で見てみると、銀行は108万円、一般的な司法書士が67万円、当事務所が19万8000円という費用結果になりました。
これほど費用に違いがあるにも関わらず、行う相続手続きは同じです。
高額な銀行に頼んだからといって、預金が増えたり、他の依頼先に比べて手間が少なくなるわけではありません。やることは一緒なのです。
一生の内に相続手続きを頼むことは、何度もあるものではないので、「このくらいが相場ですよ」と言われたら、「こんなものなんだ」と納得してしまうかもしれません。相続手続きで損をしないためにも依頼先で費用に大きな差があることを知っておいて下さい。