遺言書は弁護士、司法書士、行政書士の誰に頼む?
「遺言書の作るのに誰に頼めばいいんだろう?」
いざ遺言書を作ろうと思ったとき、次に出てくる悩みは「誰に頼めばいいの?」ということじゃないでしょうか。ネットで調べると弁護士、司法書士、行政書士がそれぞれ宣伝しているし、違いは分かりませんよね。せっかく頼むなら費用対効果がいい方が助かるじゃないですか。
この記事では、遺言書を作る時の弁護士、司法書士、行政書士の共通点や違いをご説明します。
遺言書は大きく分けて2種類
遺言書は大きく分けると、自分で作成する自筆証書遺言と公正証書で作成する公正証書遺言の2種類があります。適切に作成すれば自筆証書遺言でも公正証書遺言でも効果は同じです。
ただし、自筆証書遺言は法律の専門家が関わらないので、適切なアドバイスが受けられません。この記事では弁護士、司法書士、行政書士に依頼することを前提にしますので、公正証書遺言を依頼するケースで比較してみます。
なお、公正証書遺言をオススメする理由については「公正証書遺言をオススメする5つの理由」の記事に掲載しています。
弁護士、司法書士、行政書士の共通点
1.公正証書遺言の作成の流れは同じ
公正証書遺言を弁護士、司法書士、行政書士の誰に頼んだとしても流れに大きな違いはありません。
公正証書遺言を作る時の大まかな流れは下記のとおりです。
- どのように遺産を振り分けるか打ち合わせる
- 打合せの内容に合わせて専門家が遺言書案を作成する
- 遺言書案をもとに打ち合わせをしてより良いものにしていく
- 遺言書案が完成したら公証役場で公正証書にする
基本的に弁護士、司法書士、行政書士のどの専門家に頼んでも上記の流れで進んでいきます。
公正証書遺言作成の流れについては「公正証書遺言の依頼から完成までの流れ」の記事に掲載しています。
2.公正証書遺言の効果は同じ
弁護士、司法書士、行政書士のどの専門家に頼んでも、内容が同じであればその効果は同じです。
弁護士に頼んだからといって、通常以上のものすごい効果がある遺言書が出来るわけではありません。逆に司法書士や行政書士が作った遺言書の効果が薄くなることもありません。
上記の通り、内容が同じであればその効果は同じなのです。
そのため、弁護士、司法書士、行政書士はやることは同じです。正確に本人の意図をくみ取り、迅速に必要な書類を集め、そして争いが起こらないような遺言書を提案するのです。
弁護士、司法書士、行政書士の違い
遺言書を作成する流れや効果について大きな違いは無いと上述しましたが、もちろん違う点や専門分野の向き不向きはあります。その点を下記にまとめました。これを読んでいただき、専門家を選ぶ目安にしていただければと思います。
1.相場が違う
頼む専門家によって相場に違いがあります。
弁護士
例えば、遺言書の作成を弁護士に頼むと、ひな形を使用した定型の遺言書作成であっても10万円~が相場です。さらに少し複雑に遺産を分配したい時などは依頼者ごとに遺言書の内容を作成する非定型の遺言書となり20~300万円が相場となります。
司法書士・行政書士
それに比べ、司法書士や行政書士は弁護士と比べると費用を安く抑えられます。相場としては6~10万円が相場です。弁護士と比較すると2分の1以下の費用で作成できる場合もあります。
2.専門分野が違う
上記のように相場から見ると弁護士が高いという結果になります。しかし費用の高い安いだけで選んでしまうと、自分が期待した遺産相続の結果が出ない場合があるのです。
弁護士
弁護士の専門分野は、裁判などによる紛争の解決です。費用だけ見ると高く見えますが、すでに相続人同士の仲が悪かったり、相続発生後に争い(裁判)になることが予想されるときは、遺言書の作成を弁護士にお願いするほうがいいでしょう。弁護士は裁判の専門家なので、紛争になった際に相続人の力になってくれます。
司法書士
司法書士の専門分野は、相続登記や相続手続きです。遺産に不動産があれば、相続が発生した時に相続登記が必要になります。そのため遺言書の作成と相続発生後の相続登記・相続手続きがセットで依頼できます。一つの事務所で相続を終わらせたいときは、司法書士を選ぶのがいいでしょう。しかし前述のとおり、紛争性が高いときは弁護士がオススメです。
行政書士
行政書士の専門分野は、書類作成や許認可です。そのため遺言書の作成を依頼すれば、内容に沿った遺言書の作成をしてくれます。ただし行政書士の場合は、相続発生後の相続登記には対応できないので、相続登記が必要なケースだと司法書士にも依頼しなければいけなくなります。しかし、比較的費用もリーズナブルなので遺言書の作成だけをお願いするのであればオススメです。
相場や専門分野の向き不向きをまとめると下記のようになります。
相場 | 向いているケース | 向いてないケース | |
---|---|---|---|
弁護士 | 10~300万円 | 相続人同士が不仲な方
紛争が予想される方 |
リーズナブルなほうがいいとお考えの方
紛争がない方 |
司法書士 | 6~10万円 | 不動産をお持ちの方
リーズナブルなほうがいいとお考えの方 紛争がない方 |
紛争が予想される方 |
行政書士 | 6~10万円 | リーズナブルなほうがいいとお考えの方
不動産を持ってない方 |
不動産をお持ちの方
紛争が予想される方 |
まとめ
遺言書の作成は、流れや効果が大きく変わらないため費用で選びがちです。しかし、弁護士、司法書士、行政書士には専門分野がありますので、費用も大事ですが自分の家族関係や遺産の内容を考えて、自分にあった専門家に相談しましょう。そうしないと、余計な費用が掛かってしまったり、自分の死後、相続人に迷惑を掛けてしまうこともあります。